国土交通省は、令和8年度「物流効率化推進事業」の二次公募を開始しました。温室効果ガスの排出削減と、物流現場の省力化を目的に、荷主や物流事業者などが連携して行うモーダルシフト、幹線輸送の集約、ラストワンマイル配送の効率化、中継輸送などを支援する補助事業です。

今回の二次公募では、改正物流効率化法で新設された「貨物自動車中継輸送実施計画」に基づく事業について、計画策定経費と、認定された事業の初年度運行経費が補助対象に追加されました。

公募名

令和8年度「物流効率化推進事業」二次公募

公募開始日

令和8年11月2日

応募期間

令和8年11月2日(月)~11月19日(木)17時まで(必着)

補助対象事業者

荷主及び物流事業者等物流に係る関係者によって構成される協議会

主な対象

総合効率化計画策定、モーダルシフト、幹線輸送集約化、ラストワンマイル配送効率化、中継輸送、貨物自動車中継輸送実施計画策定・実施

補助上限

計画策定系:上限総額500万円、運行経費系:上限総額1,000万円

予算額

24.7百万円

交付決定予定

令和8年12月下旬頃

補助対象期間

令和8年12月下旬頃から令和9年2月末日まで等

まず、どんな会社か知りたい方へ

会社紹介資料

何をしている会社で、どんなご支援をしてきたのかを1つにまとめています。

会社紹介資料 1ページ

建設会社にとってのポイントは「物流会社向けの話」で終わらせないことです

この補助事業の直接の対象は、荷主及び物流事業者等で構成される協議会です。したがって、多くの中小建設会社が単独で申請して使うタイプの補助金ではありません。

ただし、建設業は物流と切り離せません。建材、設備機器、仮設材、工具、残材、産廃、現場間の資材移動など、日々の施工は多くの輸送に支えられています。

特に、次のような会社は今回の情報を確認する価値があります。

  • 自社便や協力会社便で資材を運んでいる会社
  • 複数現場への配送を日常的に組んでいる専門工事会社
  • 建材商社、メーカー、運送会社と搬入体制を見直している会社
  • 現場搬入の待機時間、再配達、積み替え、少量多頻度配送が課題になっている会社
  • 遠方現場や広域展開でドライバー確保・輸送費上昇の影響を受けている会社

つまり、今回の補助金は「建設会社が直接もらえるか」だけで見るより、自社の資材搬入を支える関係者と、物流の組み方を変える余地があるかを見るべきニュースです。

補助対象は大きく「計画づくり」と「初年度の運行経費」です

今回の事業では、主に2つの段階が支援対象になっています。

1つ目は、物流効率化法に基づく計画をつくるための調査・協議です。総合効率化計画や貨物自動車中継輸送実施計画の策定に向けて、関係者で協議会を立ち上げ、輸送条件、課題、CO2削減効果、走行距離短縮などを検討する段階です。

2つ目は、認定された計画に基づいて実施する初年度の運行経費です。モーダルシフト、幹線輸送の集約、ラストワンマイル配送の効率化、中継輸送などが対象に含まれます。

補助上限は次のとおりです。

  • 計画策定系は、定額・上限200万円に、省人化・自動化機器導入等に関する部分として最大1/2・上限300万円を加え、上限総額500万円
  • 運行経費系は、最大1/2・上限500万円に、省人化・自動化機器を用いた運行に関する部分として最大2/3・上限500万円を加え、上限総額1,000万円

ただし、省人化・自動化機器導入に関する上乗せは、資料上「総合効率化計画に係る取組に限る」とされており、貨物自動車中継輸送実施計画策定事業・貨物自動車中継輸送事業は対象外とされています。この点は誤解しやすいため、応募要項での確認が必要です。

今回追加された「貨物自動車中継輸送」は、ドライバー不足時代の現実解です

二次公募で追加されたのが、改正物流効率化法で新設された「貨物自動車中継輸送実施計画」に基づく支援です。

中継輸送は、長距離輸送を一人のドライバーが通しで担うのではなく、途中で車両や貨物、ドライバーを切り替えるなどして、運行負担を分散する考え方です。建設業に置き換えると、遠方の現場、広域での資材搬入、複数拠点をまたぐ資材移動などで、今後関係してくる可能性があります。

建設業では、現場都合で「朝一番に入れてほしい」「この時間帯しか荷下ろしできない」「少量でも今日中にほしい」といった条件が発生しがちです。これらは施工上やむを得ない面もありますが、物流側から見ると負担の大きい条件になります。

今後は、現場の段取り力が、物流コストや調達安定性にも直結する流れが強まります。中継輸送や共同配送のような仕組みは、単なる物流会社の工夫ではなく、建設会社側の発注・工程・荷受けの設計ともつながっていきます。

中小建設業が見るべき実務ポイント

今回の公募で、中小建設会社がすぐに確認したいのは「申請できるか」だけではありません。むしろ、次の3点を確認することが重要です。

1. 自社は物流上の“荷主”として関係しているか

建設会社は、案件によっては資材の受け手であり、発注者であり、配送条件を決める側でもあります。制度上の詳細な位置づけは個別確認が必要ですが、少なくとも実務上は、物流に影響を与える立場にあります。

自社が物流の単なる利用者ではなく、配送条件をつくっている当事者であるという視点を持つことが第一歩です。

2. 協議会を組める相手がいるか

補助対象事業者は、荷主や物流事業者等で構成される協議会です。つまり、単独ではなく、関係者の連携が前提です。

建設会社であれば、候補になり得るのは、建材商社、メーカー、運送会社、倉庫会社、元請・協力会社、同じエリアで動く専門工事会社などです。

日頃から配送課題を共有している相手がいる会社ほど、こうした制度を使った物流改善に入りやすいと考えられます。

3. 補助対象期間が短いことを理解する

今回の応募期間は、令和8年11月19日17時必着までです。交付決定は12月下旬頃を予定しており、補助対象期間は原則として令和9年2月末日までとされています。

認定計画に基づく事業の場合、総合効率化計画または貨物自動車中継輸送実施計画の認定日、もしくは交付決定日のどちらか遅い方から令和9年2月末日までです。なお、計画認定の標準処理期間は1か月とされています。

つまり、今回の二次公募は、ゼロから大きな構想を練るというより、すでに課題と関係者が見えている取組を具体化する性格が強いと見ておくべきです。

建設業の物流改善は、原価管理と工程管理の問題です

物流効率化という言葉は、建設業から見ると少し距離があるように感じるかもしれません。しかし実際には、資材搬入の乱れは工程遅延につながり、待機時間や再配送はコストになります。現場での荷受け体制が弱ければ、職人の手待ちや段取り替えも発生します。

これからの建設会社にとって、物流改善は「運送会社に任せる話」ではありません。

工程表、発注タイミング、現場の荷受け、置き場、協力会社との情報共有まで含めた、原価管理の一部として見ていく必要があります。

今回の補助事業は、建設会社が単独で使いやすい制度とは限りません。それでも、建材や資材の流れを関係者と見直すきっかけとしては有効です。特に、輸送費の上昇、人手不足、現場搬入の混雑、広域展開に課題を感じている会社は、取引先や物流会社と一度話してみる価値があります。

まずは「自社の物流課題」を言語化するところから始める

補助金を使うかどうかの前に、建設会社が取り組みたいのは、自社の物流課題を整理することです。

たとえば、次のような問いです。

  • どの資材の搬入で待機・再配送・急配が多いのか
  • 現場ごとに配送条件がバラバラになっていないか
  • 少量多頻度配送が常態化していないか
  • 協力会社や商社に無理な納入条件を出していないか
  • 資材置き場、倉庫、現場搬入の役割分担を見直せないか
  • 自社便や協力会社便の稼働実態を把握できているか

こうした整理ができると、補助事業の活用可能性だけでなく、見積、原価、工程、協力会社との関係改善にもつながります。

物流の見直しは、建設会社がものづくりに集中するための土台づくりです。制度の対象になるかどうかを確認しつつ、自社の現場運営を一段強くする機会として捉えたいところです。

自社の資材搬入・原価への影響を整理したい場合

今回のような物流効率化の制度は、「うちの会社が直接対象になるのか」「取引先と組めば可能性があるのか」「そもそも何を課題として整理すればよいのか」が見えにくい面があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。物流費や資材搬入の課題も、単体で見るのではなく、工程管理・見積・利益管理・協力会社連携とあわせて考えることが大切です。

「制度を使う前提ではないが、まず自社の課題を整理したい」「取引先と何を話せばよいか確認したい」という段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、必要に応じて次の整理先としてご活用ください。

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