新規開拓で案件を増やしたい首都圏拠点の、媒体導入直後という現在地
案件を増やす必要はあるものの、始めたばかりの営業施策をまだ評価できていない。 ある建設会社の首都圏拠点は、そんな段階にありました。
同社は九州に本社を置き、建築工事や建物の維持管理などを手がけています。神奈川県の拠点は開設から数年。年間売上はおよそ7億円です。対応エリアは県内の都市部とその周辺。新築だけでなく、住宅やビルの内装・改修工事も受けています。
拠点の取引先は、基本的に新規開拓で増やしてきました。ただ、成長は当初の想定ほど進んでいません。特定の季節だけ工事が薄いというより、全体として案件を増やしたい状況です。
そこで、販路開拓を目的にマッチング媒体を使い始めました。利用開始から、まだ1か月もたっていません。外部へ販路開拓を委託した経験もなく、まずは自社営業と媒体の組み合わせを試しているところでした。
担当者の言葉は、「まだ手探りな状況です」。次の施策を決める前に、今の取り組みから何が分かるのかを確かめたい。その順番を大切にしたい場面です。
媒体の対応で手いっぱいになり、案件を増やす次の手を検討しにくい状態
足りないのは案件だけではなく、新しい営業施策を動かす余力でもありました。
担当者は建築営業を担い、拠点へ工事を持ってくる役割を負っています。中途入社して間もなく、以前は店舗開発に携わっていました。現在の仕事には、初めて取り組む業務も多いといいます。
そのなかで、媒体の運用も始まりました。追加のマッチングサービスを案内された際には、こう話しています。
「ちょっと待ってもらっていいですか。今の媒体の対応で、本当に手いっぱいなんです」
この言葉から読み取れるのは、費用だけでは測れない実行負担です。登録先が増えれば、その先の確認ややり取りも増えます。利用料がかからなくても、担当者の時間まで不要になるわけではありません。
一方で、問い合わせ件数や受注件数、対応にかかっている時間は、この時点では確認できていません。忙しいから成果が出ているとも、受注が見えないから効果がないとも判断できない状態です。
次の施策を足す前に、「今の媒体で何が進んでいるか」と「どれだけ手がかかっているか」を分けて見る必要があります。
媒体の効果検証が終わらず、追加投資を社内で説明する材料も不足
追加投資を見送っていた背景には、既存施策の検証途中という事情と、費用対効果を説明する難しさがありました。
媒体の導入は、社内で協議し、稟議を通して進めたものでした。導入直後に別の施策を重ねるとなると、何が足りず、なぜ追加するのかを改めて説明する必要があります。
担当者も、「まだ1か月もたっていないので、検証も終わっていない状況です」と話していました。直近で別の有料施策を始めるのは難しい。まず一定期間取り組み、その結果を踏まえて判断したいという考えです。
費用面でも、「費用対効果というところで、厳しい部分があります」と率直に話しています。案件を増やしたい気持ちはあっても、それだけで投資を決められるわけではありません。
さらに、狙う案件の幅も広い状態でした。「小さい仕事から大きな仕事までやるのが経営者の方針です」。住宅もビルも対象です。具体的に開拓したい会社や、優先する工事規模はまだ定まっていません。
これは、対応できる幅があるという強みでもあります。ただ、投資を試算する際には、どの工事を何件増やす想定なのかが必要です。案件ごとの利益が違えば、同じ受注件数でも投資の評価は変わります。
「取引のきっかけがほしい」という希望を、増やしたい工事と見込める利益に置き換えることが、次の判断材料になります。
媒体の成果と工数を整理し、追加受注の利益と実行余力で投資を比較
まず既存媒体を評価できる状態にし、そのうえで改善を続けるか、販路開拓を外部へ任せるかを比べるのが進めやすい順番です。 導入直後の媒体を、早々に成果不足と決めつける必要はありません。
既存媒体は、受注までの進み具合と対応時間をセットで確認
最初に整理したいのは、媒体経由の接点がどこまで進んでいるかです。受注の有無だけでなく、その手前も確認します。
- 問い合わせやメッセージのやり取りは、どれだけあるか
- 具体的な打ち合わせや見積もりへ、どれだけ進んでいるか
- 受注した案件と、まだ検討中の案件はどれだけあるか
- それらへの対応に、担当者がどれだけ時間を使っているか
数字がそろっていなければ、まず確認できる範囲から整理します。大切なのは、忙しさと成果を混同しないことです。
接点はできていて、打ち合わせや見積もりが進んでいるなら、まずその結果を確かめる意味があります。やり取りに時間がかかる一方で、具体的な案件へ進んでいないなら、媒体の担当者と運用内容を見直す材料になります。
見直す時期も決めておきます。単に待つのではなく、「いつ、どの進み具合と工数を見て判断するか」を先にそろえると、社内でも話を進めやすくなります。
追加投資は、受注額ではなく増える利益で試算
次に、過去の工事実績から、追加受注によって見込める利益を確認します。対応範囲が広い会社ほど、売上総額だけでは判断しにくいためです。
考え方は、次の形です。
追加受注による見込み利益=過去の類似工事から見込む1件当たりの利益×追加受注件数
この見込み利益と、媒体や外部委託にかかる費用を、同じ期間で比較します。その際は、協力会社への支払いなど、工事に必要な原価を反映した利益を使います。受注額を、そのまま投資回収に充てられる金額として扱わないことが大切です。
また、追加受注件数は確定した成果ではありません。どの取引先に働きかけ、どの工事を増やす想定なのか。外部へ委託する場合も、その根拠を確認します。見込みどおりに進まなかった場合も含めて、費用に見合うかを見ておくと判断しやすくなります。
施工できる件数と、営業側に残る仕事を確認
利益が見込めても、受けきれなければ計画どおりには進みません。同社は施工を協力会社に依頼しており、案件が増えた場合も「なんとか対応できる」という認識でした。ただし、何件でも受けられると確認できていたわけではありません。
試算した追加件数について、現在の協力会社で対応できるかを確かめます。対応エリアや工事規模も、現状の体制に合わせて考えます。
営業側の余力も同じです。外部委託は、新規取引先への働きかけを任せられる選択肢です。ただ、どこまで任せられ、社内には何が残るのかを確認しなければ、担当者の負担が軽くなるかは分かりません。
既存媒体の改善は「成果につながる見込みと運用余力」で、外部委託は「増える利益と社内に残る負担」で比較します。 費用だけ、接点の数だけで選ばないことが、無理なく続けられる施策選びにつながります。
まとめ
案件を増やしたいときほど、施策を増やす前に、今の施策の成果と負担を確かめることが次の一手になります。
今回の会社では、媒体を始めてまだ1か月未満でした。担当者は対応で手いっぱいです。効果検証も終わっていません。そこで追加施策を急がず、判断材料をそろえるという選択には意味があります。
問い合わせから打ち合わせ、見積もり、受注までの進み具合を確認する。対応時間も見る。過去の類似工事の利益から、追加受注が投資に見合うかを試算する。最後に、施工と営業の両方に余力があるかを確かめます。
次の投資は、「売上が増えそうか」だけでなく、「利益が残り、実際に動かせるか」で考える。 その整理ができれば、既存媒体を続ける判断も、外部へ任せる判断も、社内で共有しやすくなります。
案件獲得の次の一手を、自社の余力から整理するために
「今の媒体をもう少し続けるべきか」「外部へ任せるなら、何を任せればよいか」。まだ答えが決まっていない段階でも、整理できることはあります。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場の体制や社内業務も含めて横断的に整理し、実行まで支援しています。案件獲得では、既存施策の状況を踏まえ、開拓先や進め方、社内外の役割分担を一緒に考えます。
施策を増やすことを前提にせず、自社に合う次の一手を整理するところから相談できます。 無理にサービスの導入をお勧めすることはありません。「うちの場合は何から確認すればよいか」という段階でも、お気軽にご相談ください。