住宅会社との取引を広げたい外構会社の現在地
新規営業への意欲はあるのに、現場業務や突発対応が重なり、開拓に使う時間を確保できない。 奈良県を拠点とする、ある外構会社から寄せられた相談です。
住宅会社から外構の依頼を受け、図面の提案から施工まで対応しています。既存の取引先からは、図面の仕上がりや提案、工事のきれいさを総合的に評価されているそうです。
新しい取引先を増やしたい気持ちも、はっきりしています。
「得意ではないんですけど、新しいことをやっていくのが好きなんです。行きたい気持ちは、すごくあるんですけどね」
営業そのものを避けたいわけではありません。自分で相手に会い、仕事につなげたい。ただ、日々の対応がある。その間で、開拓が後ろに回っていました。
目指しているのは、ただ取引先の名前を増やすことではありません。設計から関われる住宅会社や、意匠面で一緒に仕事をしたい工務店など、自社の施工力や提案力を生かせる相手との接点づくりです。
候補探しから面談までを社長が抱える開拓の停滞
営業の時間をつくるには、社長が会いに行く前の仕事を分けて考える必要があります。 新規開拓には、相手との面談以外にも多くの作業があるからです。
候補となる住宅会社を探す。施工事例を見る。外構をどのように発注しているか調べる。電話をして、担当窓口を確かめる。そのうえで、面談の機会をつくる。どれも必要ですが、すべてに社長自身の判断が必要なわけではありません。
一方で、日々の仕事には予定どおりに進まないこともあります。
「ちょっと時間ができるかなと思ったら、何かと問題が起きてくるんです」
この言葉から見えるのは、営業への意欲不足ではありません。まとまった時間が取れたときに、候補探しから始めようとしても、その時間が別の対応に置き換わってしまう状態です。
ただし、面談だけを増やせばよいわけでもありません。設計から任せてもらいたいのに、施工のみの依頼を前提とする相手ばかりでは、話がかみ合いにくくなります。
分けたいのは作業であって、自社に合う相手を選ぶ基準ではありません。 ここを共有しないまま開拓を任せると、社長の予定は埋まっても、望む取引には近づかない可能性があります。
発注方法だけでは決められない外構の取引相性
この会社が求める相手は、「設計から一式で任せる住宅会社」だけでは括れませんでした。 施工のみでも条件が合えば検討できますし、地場の工務店にも関心がありました。
特に話が広がったのは、デザインにこだわる工務店との仕事です。
「設計から一緒にできて、自分自身も成長できるのであれば、取引させてもらいたい気持ちはあります」
価格だけでなく、設計への関わり方や、相手の考え方にも価値を感じています。だからこそ、「大手ならよい」「地場は対象外」といった分け方では、候補をうまく絞れません。
意匠面の方向性については、公開情報から分かる部分もあります。
「施工例を見れば分かると思います」
相談者は、アメリカンな雰囲気など、明確な作風を打ち出す会社を例に挙げていました。施工事例は、単に実績の多さを見るものではありません。どのような外構をつくりたい会社なのかを知る材料にもなります。
一方、外からは分からないこともあります。外構業者を決めるのは本社なのか、支店なのか。設計から任せるのか、工事だけを依頼するのか。同じ住宅会社でも、拠点や部門によって確認が必要です。
施工事例で分かる相性と、電話で確かめる発注体制を分けること。 それが、社長が会うべき相手を絞る土台になります。
事前確認を分けて、社長は提案と相性の判断に集中する進め方
候補企業の抽出から面談設定までを事前業務として切り分け、社長は提案と取引判断に時間を使う形が考えられます。 外部の営業支援を使う場合も、まず任せる範囲と判断基準をそろえるところからです。
先に「会いたい相手」の条件をそろえる
候補を探す前に、自社が対応できる範囲と、優先したい仕事を整理します。この相談で軸になったのは、次の項目です。
- 拠点から施工に対応できるエリアか
- 設計から関われるか、施工のみでも検討できるか
- 施工事例に表れている意匠の方向性が合うか
- 提案や工事の品質を評価してもらえそうな相手か
大切なのは、必須条件と、条件次第で検討するものを分けることです。
たとえば、この会社は設計から関わる仕事を望んでいます。ただし、施工のみを一律に除外しているわけではありません。意匠性の高い工務店も、設計を一緒に考えられるなら候補になります。
希望を一つの条件に押し込めず、「優先する相手」と「個別に判断する相手」を共有することが、候補の取りこぼしを減らします。
候補抽出と電話確認を、面談前の仕事として任せる
事前業務では、対応エリア内の住宅会社を抽出し、既存の取引先を除きます。そこから施工事例を確認し、方向性の合う候補を絞ります。
電話では、公開情報だけでは分からない点を確かめます。中心になるのは、外構の発注方法と、取引を決める窓口です。設計から施工まで任せる体制なのか。施工のみなのか。本社と支店のどちらに話をする必要があるのか。こうした確認を、面談設定より先に置きます。
進める順序は、「候補を出す→施工事例を見る→発注体制と窓口を確かめる→条件が合えば面談を設定する」です。
この順序なら、社長が会ってから初めて「そもそも任せてもらえる範囲が違った」と分かる場面を減らせます。面談件数だけでなく、会う前に何が確認できているかを見ることが大切です。
社長に残すのは、自社の強みを伝え、相手を見極める仕事
社長が担いたいのは、自社がどう役に立てるかを提案し、一緒に仕事ができる相手かを判断する部分です。
この会社なら、既存の取引先から評価されている「図面の提案から工事完了までの総合的な品質」が、伝える材料になります。突出した一つの特徴を無理につくるより、実際に評価されていることを言葉にするほうが、提案の土台になります。
相手に会ったら、設計にどこまで関われるか。求める仕上がりは合うか。自社の対応範囲で引き受けられるかを確かめます。
面談ができたことと、取引が始まることは別です。社長の時間を使う先は、挨拶の件数ではなく、具体的な提案や条件のすり合わせに進める相手と考えると、開拓業務の分け方も決めやすくなります。
まとめ
現場対応で新規営業が進まないときは、営業への意欲を高めるより、社長が会う前の仕事を切り分けることが一つの手になります。
候補企業の抽出、施工事例の確認、電話での発注体制や決裁窓口の確認。ここまでを事前業務として整理します。そのうえで、社長は自社の強みを伝え、設計への関わり方や仕事の相性を判断します。
最初にそろえたいのは、施工対応エリアと、設計・施工の対応範囲、意匠面の方向性です。「どこでもよいから会う」ではなく、「自社に合う相手と話す」ための条件です。
新しい取引先に会いに行きたい。その気持ちを生かすためにも、社長にしかできない判断と、その前に進めておける確認作業を分けることから考えてみてはいかがでしょうか。
自社に合う開拓先と、任せる営業業務の整理
「どの住宅会社を候補にするか」「面談前のどこまでを任せるか」が曖昧な段階でも、整理するところから相談できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。取引先の開拓でも、現場対応を踏まえながら、狙う相手の条件や営業業務の分け方を一緒に考えます。
「うちの場合は、何を社長に残すべきか」という段階でも構いません。無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、次の一手を整理する場としてご相談ください。