前提

商社経由の防犯カメラ工事を担う少人数企業の施主直受注への挑戦

施工経験も機器を販売できる仕入れ先もある会社にとって、施主直受注への一歩は、その両方を生かせる相手を選ぶことです。

関東を中心に、防犯カメラの設置や電気設備工事を手がける、3名規模の専門工事会社からの相談です。主な取引先は複数の商社で、機器を販売する会社の施工部隊として、二次請けの立場で工事を担っています。住宅から法人施設まで、一通りの建物で施工経験があります。

既存の取引先は、社長自身が検索して電話をかけたり、展示会で声をかけたりして開拓してきました。営業をしたことがないわけでも、施工に自信がないわけでもありません。それでも、「一社ではないですけど、何社か付き合っていても、やっぱり波があるんで」と話します。

増やしたいのは、単に同じ商流の取引先だけではありません。「エンドで取りたいなと思います」という言葉の通り、機器の販売から施工まで自社で請け負い、施主と直接やり取りできる仕事を求めています。

その候補として挙がったのが、介護施設や保育園を運営する法人でした。既存の商社との付き合いを続けながら、法人施主との直接取引を新しい受注経路に育てたい、という現在地です。

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課題

施主直受注を個人宅の開拓だけで考えると販売・施工の強みを生かしにくい状況

「施主直受注を増やすこと」と「個人向けの仕事を増やすこと」は、分けて考える必要があります。

この会社にも個人宅からの依頼はありますが、社長は個人向け市場について、「今はネットでも安いカメラがいくらでもあるので、難しいですよね」と話していました。安価な機器が見つかる環境では、販売と施工を一括して担えることが、機器単体の価格との差として受け取られる可能性があります。

一方、法人施主との直接取引であれば、導入する台数だけでなく、同じ法人が運営する別施設への展開や、設置後の更新相談まで含めて関係を考えられます。もちろん、法人だから必ずまとまった工事になるわけではありません。施設ごとの状況を確かめず、業種名だけで営業先を選ぶと、期待と実際の案件にずれが生じます。

整理したいのは、「直接受注できそうか」だけでなく、販売・施工をまとめて任せてもらえるか、その一件が次の相談につながる相手かという点です。

また、少人数の会社では、受注件数を増やすことと、無理なく施工できることを同時に考える必要があります。系列施設への展開が見込めても、対応範囲を広げすぎれば既存工事との両立が難しくなります。開拓先の魅力と、自社が引き受けられる範囲を組み合わせることが課題です。

背景

介護施設・保育園に着目した理由は系列施設への展開経験と更新相談への期待

介護施設や保育園に着目した背景には、施設数の増加への期待以上に、一つの接点から複数施設の工事につながった経験があります。

社長は、取引先がOA機器を販売する中で、防犯カメラも対応できると伝えたところ、「じゃあ、ここの施設も、ここの施設も」という話になった経験を挙げていました。保育園についても、同じ系列の園を運営していれば、一つの工事が別の園への相談につながるのではないかと考えています。

ここで注目したいのは、施設の種類だけでなく、複数施設を運営する法人という取引相手の構造です。一施設の施工実績を、同じ運営法人の中で見てもらえる可能性があります。ただし、この経験は横展開の可能性を示すものであり、一施設を受注すれば自動的に系列全体へ広がるという意味ではありません。

社長はさらに、「カメラは、一回つけたら終わりというわけではないですよね」と話していました。故障などに伴う入れ替えや、設置後のメンテナンスも視野に入れています。更新までの期間は機器や使用状況によって異なるため、一律の年数で工事が発生すると見込むのではなく、設置後も相談を受けられる関係に価値を見いだしていると捉えられます。

その土台にある強みが、「施工も販売もできる」という点です。施工だけを担当する現在の立場から、機器の販売も含めて引き受けることは、既存の経験と仕入れ先を生かした広げ方です。

一方で、現在の工事は基本的に一日一件が目安で、小規模かつ近隣の案件なら午前・午後に分けるなど、組み方を工夫できるとのことでした。広域への出張経験はあっても、「行ける地域」と「継続して施工や設置後の相談に対応しやすい地域」は分けて判断したいところです。

解決

施設運営法人を絞り一施設の施工から系列展開と更新相談を育てる進め方

まずは対応しやすい地域の施設運営法人をリスト化し、一施設への提案から関係を育てる進め方が合っています。 最初から系列全体の受注を前提にせず、販売・施工を一括して任せてもらう機会をつくり、その対応を次の相談につなげます。

施設名だけでなく運営法人単位で候補を整理する

営業先は、介護施設や保育園の名前を並べるだけでなく、どの法人が運営しているかを確認して整理します。同じ法人の施設を別々の候補として扱うより、系列の広がりを踏まえて提案先を考えやすくなるためです。

候補を比べる際は、次の点を判断軸にします。

  • 導入台数の見込み:一施設でどの程度の設置工事が想定されるか
  • 系列施設への展開可能性:複数施設を運営しており、施工実績を次の相談に生かせる余地があるか
  • 将来の更新相談の可能性:既設カメラがあり、状態確認や入れ替えの相談につながる余地があるか
  • 自社の対応のしやすさ:施設の所在地や工事規模が、既存工事と両立できる範囲にあるか

台数や既設機器の状況など、接点を持たなければ分からない項目は、未確認として残して構いません。リストを完成させてから動くのではなく、候補を絞るための情報と、対話で確かめる情報を分けておきます。

施設数が多い法人ほど優先する、という選び方も避けたいところです。系列が広域に分散していれば、横展開できても移動や施工の負担が増えます。少人数で始めるなら、対応しやすい地域に施設があることも重要な選定条件です。

最初の提案は販売・施工の一括対応を軸にする

一施設への提案では、「カメラを安く売れます」よりも、「機器の販売から設置工事までまとめて対応できます」を軸にします。 この会社がすでに持っている強みを、そのまま伝える形です。

そのうえで、相手が新規設置を考えているのか、既設機器の入れ替えを考えているのかを確認し、対象施設と台数に合った提案へ進めます。住宅から法人施設まで施工してきた経験も、対応力を伝える材料になります。

社長には、顧客の負担を抑えたいという考えがあります。ただ、価格を下げて件数で補うことを先に決めると、少人数では施工件数の上限にぶつかりやすくなります。販売と施工を一括で担える強みを生かしながら、移動や工事に必要な手間も含めて、継続して対応できる条件を確かめることが大切です。

一施設の施工実績を基に系列施設への相談を広げる

系列施設への展開は、最初の施設での施工と対応を見てもらった後に、次の相談として持ちかけます。「ほかの施設でも設置や入れ替えを検討しているところはありますか」と確認する順序であれば、一施設の実績を基に話を進められます。

社長が経験した「ここの施設も」という広がりは、この段階で生かせる可能性があります。ただし、別施設でも導入が必要かどうかは個別に確かめる必要があります。横展開は受注計画に織り込む確定案件ではなく、施工後に育てる機会として扱います。

また、商社経由で施工した既存顧客と、新たに直接開拓する法人は区別しておきます。既存取引先から依頼を受けた施設へ独自に営業をかけるのではなく、関係への影響を確認しながら、新規開拓の範囲を決める進め方が適切です。

設置後は状態確認から更新相談につなげる

設置後の接点は、決まった年数で買い替えを勧めるためではなく、現在の状態を確認し、必要なときに相談してもらうために持ちます。故障や入れ替えの必要性が見えた段階で、改めて提案する関係です。

社長が考えていた定期的なメンテナンスも、選択肢の一つです。ただし、継続的な収入を見込むことを先に置くのではなく、何を確認し、どこまで対応するのか、それを現在の人数で続けられるのかを整理してから検討します。

開拓の量も同様です。一日一件を基本とする施工の実態を踏まえ、既存工事に加えてどの地域・規模の案件なら受けられるかを先に決めます。候補法人への接点づくりを続けながら、実際の相談内容と施工余力に応じて対象を広げる方が、無理なく直接取引を育てられます。

まとめ

防犯カメラ工事の施主直受注は、個人向けの価格競争に寄せるだけでなく、販売・施工を一括して任せてもらえる法人との接点を増やす道があります。

介護施設や保育園を運営する法人は、導入台数、系列施設への展開、将来の更新相談という観点から検討できる相手です。ただし、施設の種類や運営数だけで受注を見込まず、一施設ごとの必要性と自社の対応力を確かめることが欠かせません。

最初の一手は、対応しやすい地域の運営法人を整理することです。一施設への提案と施工を通じて実績をつくり、その後に系列施設や設置後の相談へ広げます。既存取引先との関係を守りながら、自社で選べる受注経路を一つずつ増やす考え方です。

介護施設・保育園への開拓先を整理したいときに

「うちなら、どの運営法人から接点をつくるべきか」という段階から、開拓先と進め方を整理できます。 販売・施工の強みがあっても、それを誰に伝えるか、今の人数でどこまで受けるかによって、営業の組み方は変わります。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。施設運営法人の候補整理や接点づくりについても、既存取引との関係や施工余力を踏まえ、一緒に進め方を考えます。

何から整理すべきか決まっていない段階でも構いません。無理な営業はせず、自社に合う開拓の方向を確認するところからお話を伺います。

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