前提

既存ルートから防犯フィルムの依頼が集まる少人数の専門工事会社

施工を任せてもらえる実績と、新しい取引先に自社を知ってもらう力は、分けて考える必要があります。 既存のつながりで仕事が来ている会社でも、自ら営業先を選ぶとなると、どこから着手するか迷うことはあります。

首都圏を中心にガラスフィルム工事を手がける、従業員3名ほどの専門工事会社も、その段階にありました。社内の職人に加え、長年付き合いのある一人親方とのネットワークがあり、新しい依頼に対応する施工体制はあります。

主力は、戸建て住宅を中心とした防犯フィルム施工です。警備会社のサービスに関わる工事を、間に入る会社から長く受けてきました。そのほかにも、ガラス会社やサッシ会社、工務店、リフォーム会社などから依頼があります。

一方、仕事の一部は施工の手間だけを請ける形です。今後は、得意な防犯フィルムを軸に、材料と施工を合わせて任せてもらえる取引を増やしたいと考えていました。単に仕事量を増やすのではなく、今ある施工力を、より望ましい依頼につなげるための新規開拓が出発点です。

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課題

施工依頼は来ても自ら営業する取引先を選べていない状態

課題は、施工需要が見当たらないことではなく、需要のある相手へ自社から接点を作れていないことです。 管理会社や住宅関連の会社が関わる案件も、既存ルートを通じて施工した経験はありました。しかし、直接声をかける取り組みには至っていませんでした。

施工を請けられない事情があるわけではなく、自分たちから営業する経験が乏しかったのです。既存の依頼に応えていれば現場は動くため、新たな取引先を探す活動は、具体化しないままになっていました。

ここで整理したいのは、営業先の社名より先に、どのような仕事を、どの立場で受けたいかです。「自社に発注してくれる会社」を増やしても、その会社がさらに何社もの下請けに入っていれば、望んでいる取引には近づかない場合があります。

この会社が求めていたのは、既存の発注会社を飛び越えて、その先へ一律に直接営業することではありません。今の関係を大切にしながら、できるだけ発注者に近い位置にいる会社との取引を増やすことでした。

取引先の数だけでなく、その会社が誰から依頼を受け、何を自社に任せるのかまで見ることが、営業先選びの前提になります。

背景

防犯フィルムの専門性と住宅内での接客対応が既存受注を支える強み

新規営業で伝える材料は、すでに既存の仕事の中にあります。 この会社の場合は、防犯フィルムに特化してきた経験と、住宅内での対応を含めた施工の仕方でした。

防犯フィルムは、同じフィルム工事でも道具が多く、手間もかかるため、施工を積極的に引き受けない同業者がいるといいます。その分野を長く続けてきたことで、他社が受けた案件でも施工部分を任され、防犯フィルムの依頼が集まるようになっていました。

これは、単に「フィルムが貼れる」という説明とは違います。発注側から見ると、施工を頼みにくい分野まで相談できることが、依頼する理由になっています。

もう一つが、日常的にお客様の自宅へ上がって工事をしてきた経験です。社内では、身だしなみやマナー、説明、コミュニケーションまで含めて「接客施工」と捉えていました。仕上がりの品質だけでなく、お客様への対応も大切にしています。

警備会社や管理会社にとって、施工会社は自社のお客様と接する相手でもあります。そこで伝えたいのは、対応に関する問題が絶対に起きないという約束ではなく、住宅内での工事に慣れ、身だしなみや説明も施工の一部として扱ってきた事実です。

防犯フィルムの専門性と、お客様宅での対応力を合わせて伝えることで、発注側が任せる理由を理解しやすくなります。 既存の紹介先には説明しなくても伝わっていた強みを、新しい相手にもわかる言葉にすることが必要です。

解決

防犯需要と接客施工が重なる警備会社から始める取引先開拓

最初の営業先は、業界の大きさや知名度ではなく、自社の得意な施工と相手の顧客需要が重なるかで選びます。 この会社であれば、防犯を主軸に伸ばしたい意向が明確なため、警備会社を優先する考え方が合います。

ただし、警備会社という業種名だけで、防犯フィルムの需要があるとは判断できません。既存案件で経験しているような住宅向けの防犯サービスとのつながりがあるか、自社が施工を担う余地があるかを確認しながら候補を絞ります。

警備会社・管理会社・ガラス会社を同じ基準で比較する

候補となる業種は、それぞれ期待できる依頼が異なります。優先順位をつける際は、次のように整理できます。

  • 警備会社:防犯フィルムという得意分野と、相手の防犯サービスが重なるかを確認します。住宅への訪問施工で培った対応力も、合わせて伝えられる候補です。
  • 管理会社:マンションの遮熱フィルムや貼り替えなど、既存案件で経験のある需要との接点を確認します。防犯を中心に伸ばす方針との違いも踏まえて比較します。
  • ガラス・サッシ会社:すでに受注実績のある業種として、類似企業を探しやすい候補です。ただし、既存取引先の案件と重ならないか、どの商流で発注されるかを確認します。

管理戸数が多いから、大手だからという理由だけでは、自社に合う営業先とは限りません。得意な工事が発生するか、接客施工が役立つか、希望する請負範囲で任せてもらえるかを揃えて比べると、優先順位がつけやすくなります。

この会社なら、防犯フィルムを伸ばすための警備会社を先に検討し、管理会社やガラス・サッシ会社は、受けたい仕事内容と取引関係を見ながら候補に加える進め方です。営業先を広げることと、主軸を曖昧にすることは別に考えます。

既存案件の商流を手がかりに類似企業を探す

候補探しは、すでに受注できている案件の流れを整理するところから始められます。 現在の発注会社だけでなく、その先にどのような警備会社、管理会社、住宅関連会社がいるのかをたどると、自社の施工が必要とされる場所が見えてきます。

ここでの目的は、既存取引先の顧客をそのまま営業先にすることではありません。既存案件を、どのような企業間のつながりでフィルム工事が発生するのかを知る手がかりとして使います。そのうえで、同じような顧客層や事業を持つ別の企業を探します。

候補リストには、社名や連絡先に加え、対応エリア、想定されるフィルム工事、発注上の立場、既存取引との重なりを整理すると、営業する理由と見送る理由を共有しやすくなります。公開情報だけでわからない点は、接点を作った後に確認する事項として残しておきます。

既存取引と競合する相手や、直接連絡することで関係に影響する相手は、営業対象から外します。既存の信頼関係を守る条件を先に決めてから候補を選ぶことが、新規開拓を進めやすくします。

電話や問い合わせフォームから接点を作り、面談後も関係を続ける

候補がまとまったら、電話や営業連絡を受け付けている問い合わせフォームを通じて接点を作ります。伝える内容は、幅広い工事に対応できるという説明だけでなく、相手に関係する強みに絞ります。

警備会社に対しては、防犯フィルムを長く扱ってきたこと、戸建て住宅での施工経験、身だしなみや説明を含めた接客対応を大切にしていることが中心になります。管理会社であれば、マンションのフィルム施工や貼り替えなど、相手の管理物件に関わる経験を軸にします。

面談では、一方的に施工力を説明するだけでなく、実際にどの工事を外部へ発注しているのか、材料と施工を合わせて任せる可能性があるのか、どの商流で依頼するのかを確かめます。ここで、自社が望む取引と合うかを判断します。

また、初回の面談や一度の受注だけで、取引先開拓が完了するわけではありません。接点を作る活動と、継続して工事を相談してもらうためのフォローを、一続きで考えることが大切です。 定期的に連絡を取り、相手の需要と自社の伝え方を確かめながら、候補や優先順位を見直していきます。

まとめ

施工に強い専門工事会社の新規営業は、得意な工事を必要とする相手を選び、既存の仕事で評価されている理由を伝えることから始まります。

防犯フィルムを主軸にするなら、警備会社は優先して検討したい候補です。管理会社やガラス・サッシ会社も、需要の内容、発注上の立場、既存取引との重なりを見ながら比較できます。

最初に整理したいのは、受けたい工事、施工以外も含めた自社の強み、既存関係を守るために営業しない相手です。その条件をもとに、既存案件の商流から類似企業を探し、電話や問い合わせフォームで接点を作ります。

営業が得意かどうかだけで考えるよりも、誰に、何を任せてもらいたいのかを明確にすることが、次の行動につながります。

自社の施工力が伝わる取引先の整理から

新しい取引先を増やしたくても、警備会社を優先するのか、管理会社やガラス・サッシ会社まで広げるのかは、今の受注内容や取引関係によって変わります。営業先を探す前に、自社が受けたい工事と、相手に伝える強みを整理する段階から相談できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。取引先開拓では、施工体制や既存の商流を踏まえ、候補先の選定から接点づくり、その後のフォローまで一緒に進めます。

自社ならどの取引先から考えるべきか、まだ整理できていない段階でもご相談いただけます。 無理に営業や支援の導入を進めることはありませんので、次の整理先としてご活用ください。

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