現場所長から直接相談を受ける、関西の小規模な測量会社
ゼネコンとの接点はある。それでも、直接受注の機会が広がらない。 兵庫県を拠点に、関西圏で工事測量を手がける小規模な測量会社から、そんな相談がありました。
土木工事に付随する測量が主力です。公共工事に関わる業務も経験しています。近年は、地上設置型のレーザースキャナーを使った三次元測量にも力を入れていました。
大手・準大手ゼネコンの現場所長や関係者とのつながりもあります。知られていない会社ではありません。技術を評価され、直接相談が来ることもあります。
「つながることにはメリットがあります。ただ、既存でつながっている先もあるので、違う切り口があるならと思っています」
求めていたのは、名刺交換先を増やすことだけではありません。自社の提案を発注側と直接話し合える取引先をつくることでした。
直接相談が来ても、既存の一次請けを通す流れに戻る構造
相談を受ける相手と、見積もりを提出できる相手が違うことが、開拓の壁になっていました。
現場所長から相談が来ます。対応できると伝えます。ところが、実際に業務へ入る段階になると、既存の一次請けへの配慮が出てきます。
「今まで付き合いのある業者さんも無下にはできないから、入るならその会社の下で、という話になりがちなんです」
結果として、見積もりの提出先は一次請けの測量会社になります。現場から直接声がかかっても、受注経路は二次請けのままです。
相談者は、二次請けそのものを否定していたわけではありません。
「二次で受けても全然大丈夫なんです。ただ、提案したことを直接交渉できるところにつながりたいんです」
三次元計測を使う場面や、短期間で終えられる業務について提案したい。けれども、最終的な協議は一次請けを介します。自社の意図がどこまで発注側に伝わったかも、見えにくくなっていました。
ここで整理したいのは、「ゼネコンを知らない」という人脈の問題と、「知っていても直接受けられない」という既存商流の問題は別だということです。後者であれば、接点を増やすだけでは状況が変わらない可能性があります。
別の担当者につながっても、同じ一次請けと商流が重なる事情
同じ取引先の別担当者を紹介されても、既存商流から離れられるとは限りません。 この会社では、一次請け側も支店や現場に広く営業していました。
相談者は、別の部長や担当者を経由する可能性について、こう話しています。
「どこかしら、つながってしまうんですよね」
新しい担当者と接点ができても、その先の現場所長には、すでに一次請けが営業している。自社への依頼が話題になると、一次請けから「うちに見積もりを出してほしい」と連絡が来る。そうした流れを想定していました。
取引先の社名が同じでも、窓口が変われば道が開ける場合はあるでしょう。ただ、この会社の悩みは、窓口だけではなく、その先の発注経路が重なることにありました。
もう一つ、開拓先を考えるうえで大切な事情があります。少人数で動く会社にとって、長期間、現場に人を張り付ける仕事ばかりを増やすことは、望む方向ではありませんでした。短期の出張には対応できます。一方で、年単位で現場に入り続ける形は、できるだけ避けたいと考えていました。
実際に携わっていたのが、道路補修に伴う出来形測量です。
「短期勝負で、すぐに成果を求められる仕事のほうが、僕らは得意で動きやすいです」
開拓先は、直接受注できる可能性だけでなく、少人数・短納期という自社の動き方に合うかまで含めて選ぶ必要があります。 接点ができても、長期常駐の依頼ばかりであれば、目指す受注の形とはずれてしまいます。
新規取引先の土木・工事部門と、切り出せる測量業務を軸にした開拓
優先したいのは、既存商流との重なりを確かめながら、得意な業務を直接提案できる開拓先を探すことです。 会社名や紹介相手の役職だけで決めず、次の三つを判断軸にすると、候補を整理しやすくなります。
- 既存商流との重なり:新しい窓口の先でも、同じ一次請けを通す前提になっていないか。
- 直接協議の余地:測量方法や対応範囲、納期について、発注側と自社で話し合えるか。
- 得意な対応との相性:少人数で短期間に成果を出す強みが、その案件で生きるか。
新しい取引先の土木部門・工事部門を候補にする
この会社が得意としていたのは、建築の墨出しよりも土木分野の測量でした。そのため、新規ゼネコンの支店土木部門や、道路工事会社の支店工事部門が、接点づくりの候補になります。
ただし、新規の会社なら既存商流と重ならない、とまでは言えません。接点を持った段階で、どのような測量業務を、どの経路で依頼しているのかを確認することが出発点です。
紹介を受ける場合も、「土木部長に会えるか」だけでなく、自社が希望する業務の受け方を、その場で協議できるかまで確かめたいところです。
道路補修の出来形測量や、単発の三次元計測を入口にする
提案する業務は、現場全体を長期間支える仕事だけに限りません。道路補修に伴う出来形測量や、単発の三次元計測など、業務を切り出して相談できる案件も候補になります。
相談者自身も、単発の業務であれば、既存の常駐業務とは違う提案の余地があると考えていました。
「単発の業務として依頼される形なら、話は変わってくると思うんです」
「測量全般に対応できます」だけで終わらせず、道路補修の出来形測量や地上レーザースキャナーによる計測について、対応できる範囲と期間を伝える。そのうえで、相手の案件と合うかを話し合う進め方です。
接点の数を増やす前に、何を任せてもらいたいのかを具体的にすることが、開拓先を選ぶ助けになります。
小規模案件で対応力を知ってもらい、継続受注を探る
直接協議できる相手と会えても、それだけで受注が決まるわけではありません。相談者も、紹介の有効性は感じつつ、目指す受注の形まで至るかは、確かめる必要があると話していました。
まず接点をつくる。次に、見積もりや小規模案件の機会を得る。そこで品質や対応力を知ってもらい、任せてもらえる範囲を探る。その積み重ねから、継続受注を目指す流れです。
面談後も、単に「会えた」で終わらせないことが大切です。直接提案を話し合えたのか。得意な短納期案件の相談につながったのか。実際の受注経路はどうなったのか。こうした点で振り返ると、次も力をかけるべき相手が見えてきます。
まとめ
ゼネコンから直接声がかかるのに二次請けへ戻される場合、営業先の不足と既存商流の壁を分けて考えることが、次の一手になります。
同じ会社の別担当者に会っても、その先の商流が重なれば、受注経路は変わらないかもしれません。だからこそ、新規取引先の土木・工事部門と、道路補修の出来形測量や単発の三次元計測など、切り出して提案できる業務を組み合わせて考えたいところです。
目指すのは、既存取引を一度に置き換えることではありません。自社の提案を直接話し合え、少人数・短納期の強みを評価してもらえる取引先を、小さな案件から育てることです。紹介や面談は、その可能性を確かめる入口として捉えると、開拓の進め方も整理しやすくなります。
直接提案できる取引先を、どこから探すかの整理
「誰を紹介してもらうか」の前に、「どんな業務を、どの相手と直接話し合いたいか」を整理するところから始められます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。取引先開拓では、既存の受注経路や得意な施工・業務領域を踏まえ、アプローチ先の選定から、顧問の紹介・同行を含む接点づくり、提案内容の整理まで伴走します。
「うちの場合は、既存先を深めるべきか、新規先を探すべきか」。そんな段階でもご相談いただけます。無理にサービスを勧めることはありません。まずは、直接提案できる余地がどこにあるかを、一緒に整理できればと思います。