前提

応援中心の仕事から、安心して請け負える工場案件への転換

大手の工場案件を開拓したい理由は、売上の大きさだけではありません。安心して代金を受け取り、自社で請け負う仕事を増やしたい。その思いが出発点でした。

相談があったのは、九州北部を拠点とする小規模な設備工事会社です。仕事の大半は、他社の現場への応援でした。今後は、自社で工事を請け負う形へ移りたいと考えています。

希望する取引先は、「誰もが知っている会社」です。過去に未払いを経験したことが、その背景にありました。知名度のある大手なら、不誠実な対応を受ける可能性は低いのではないか。そう考えていたのです。

一方で、「本当に開拓できるの?」という疑問もありました。すでに大手メーカーとの取引は一部あるものの、新しい工場案件を増やせるかは見えていません。施工管理を担っているのも、社長一人という状況でした。

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課題

知名度だけでは決められない営業先と対応エリア

「安心して取引できそうな会社」と「自社の体制で継続して対応できる会社」を、重ねて探す必要があります。

相談では、候補企業が自社より大きくても、全国的に名前が知られていなければ、希望とのずれが生じていました。

「名前が通っていない会社なら、自分たちでも開拓しようと思っていました」

大手への入口が見つからないからこそ、外部の力も借りたい。この希望は自然です。ただ、社名の知名度だけで候補を絞ると、地場の設備工事会社を必要としている企業を見落とす可能性があります。反対に、有名企業でも、自社では対応しきれない条件があるかもしれません。

営業エリアにも同じことがいえます。工場が多い地域は魅力的です。ただ、工場の数が多いことと、今の拠点から仕事を続けられることは別です。

とくに施工管理が社長に集中している場合、遠方の案件を増やす判断には、移動と現場対応の負担も含めたいところです。

背景

同規模企業の大手取引を支えている可能性がある、工場への近さ

小規模な会社が大手と取引できている事実は参考になります。ただし、会社の規模だけでなく、取引を支える条件まで見ることが大切です。

候補として挙がったのは、メーカー系の設備会社でした。調査では、相談企業と同程度の規模で、そうした会社と直接取引している企業が見つかっていました。

これは、「小さい会社だから大手とは取引できない」と決めつけなくてよい材料です。ただし、その事例だけで、自社も同じように受注できるとは限りません。

対話では、工場の近くに事務所を置き、何かあればすぐに動けることが、地場企業の取引を支えているのではないか、という見方が示されました。実際にその条件で選ばれているかは、個別に確かめる必要があります。

工場集積地には仕事の可能性があります。一方で、近隣企業の即応体制が重視されるなら、離れた拠点から通う会社とは条件が違います。

もう一つ、確かめたい点もありました。

「今の大手顧客は、なぜ自社を選んでいるのか」

すでにある取引の理由を掘り下げることが、新しい営業先を選ぶ手がかりになります。

解決

同規模企業の取引条件と既存顧客の評価から絞る営業先

企業名を並べる前に、「取引できる根拠」と「対応を続けられる条件」を整理すると、営業先とエリアを選びやすくなります。

進め方は、希望する相手の整理、同規模企業の調査、自社の強みの確認、対応エリアの判断の順です。

「大手と取引したい」の中身を分ける

まずは、知名度のある会社と取引すること自体が目的なのか、未払いへの心配を減らしたいのかを分けて考えます。自社で請け負う工事を増やしたいという希望も、あわせて整理します。

知名度は安心感につながりますが、それだけで支払いの確実性が決まるわけではありません。また、大手メーカーの工場と直接取引することと、メーカー系設備会社の協力会社として工場案件に入ることは、異なる入口です。

大手メーカーへの直接営業だけに絞らず、工場案件を担う設備会社も候補に入れる。そのうえで、自社が目指す取引の形と合うかを見ていきます。

同規模企業の事例を、参入条件まで調べる

参考企業が見つかったら、「同じくらいの会社でも取引している」で止めないことがポイントです。

  • どのメーカー系設備会社と取引しているか
  • 工場や取引先と、拠点がどれほど近いか
  • すぐに動ける体制が、取引の条件になっていないか

確認できた事実と、まだ推測の部分は分けておきます。事例は受注の保証ではなく、自社にも入口があるかを調べる材料です。

調査資料に載っている取引先の件数も、その企業の取引全体を表しているとは限りません。件数の多さより、自社に近い会社がどんな条件で取引しているかを優先して見たいところです。

既存顧客に選ばれている理由を、次の営業につなげる

次に、すでに取引のある大手顧客との関係を振り返ります。取引が始まった経緯と、継続して依頼されている理由を整理します。

ここで大切なのは、選ばれる理由を決めつけないことです。工場への近さが効いているのか。対応している工事内容が合っているのか。既存の取引を手がかりに確かめます。

今の顧客に選ばれている理由を説明できれば、同じ条件を求める営業先を探しやすくなります。実績の社名だけではなく、相手に何を提供できるかを伝える準備にもなります。

工場の多さより、社長が対応を続けられる範囲を優先する

営業エリアは、移動距離、緊急対応の必要性、社長の施工管理負担を重ねて判断します。

工場が多くても、すぐに駆けつける対応が求められ、社長が既存現場と行き来しなければならないなら、優先順位は慎重に考えたいところです。まず現在の拠点から対応できる企業を軸にし、遠方の工場集積地は追加候補として検討する進め方もあります。

判断したいのは、「営業に行けるか」だけではありません。受注した後も、既存顧客への対応と両立できるか。そこまで見て、営業先を絞ります。

まとめ

小規模な設備工事会社の大手開拓は、知名度の高い社名を集めることより、自社が選ばれる条件を見つけることから始められます。

未払いを経験すれば、安心して取引できる相手を求めるのは自然です。その希望を大切にしながら、メーカー系設備会社との取引も含めて、入口を広く見てみます。

同規模企業が取引している理由を調べる。既存顧客が自社を選ぶ理由を確かめる。そのうえで、移動や緊急対応、社長の施工管理負担に無理のない範囲へ絞る。この順番なら、大手との取引を、具体的に検討しやすくなります。

大手の工場案件に向けて、営業先と対応範囲を整理するために

「大手とつながりたいけれど、どの会社を狙えばよいかわからない」「隣の地域まで広げてよいのか迷っている」。そんな段階から整理できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。工場案件の開拓でも、営業先の候補だけでなく、自社の強みや施工管理体制を踏まえ、取り組む順番を一緒に考えます。

まずは、自社に合う営業先と、無理なく対応できるエリアを整理するところから。支援の利用を前提に話を進めたり、無理に営業したりすることはありません。「うちの場合はどう考えるか」という段階でも、ご相談ください。

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