応援仕事が約9割を占め、正社員の稼働が月の半分にとどまる専門工事会社
応援仕事を中心に受けていても、社員の予定が十分に埋まっているとは限りません。 ある設備系の専門工事会社では、仕事の約9割が応援でした。請負は残りの1割ほどです。それでも、社員が現場に出ているのは月の半分程度にとどまっていました。
社員は正社員雇用です。現場が空いても、人件費の負担は続きます。会社としては、利益を残しにくい状態でした。
目指していたのは、「請負で案件をもらって、自社で対応する」形への転換です。人員の応援を中心とした受注から、工事を請け負う受注へ。仕事の取り方を変えたいという意向がありました。
ただし、施工管理を担えるのは社長だけです。社員の稼働には余裕があっても、工事を管理する側には別の制約があります。この二つを分けて考えることが、出発点になります。
利益不足と仕事を切られる不安が、大手との直接取引への期待に集中
整理したいのは、「足元の稼働を埋めること」と「請負を増やすこと」、そして「安心して取引できる相手を探すこと」です。 この会社では、その期待が大手との直接取引に集まっていました。
応援仕事については、「利益が残らない」「明日にでも切られてもおかしくない」という認識がありました。今の受注構造を変えたい理由は、売上を伸ばすことだけではありません。仕事の継続性も気になっていたのです。
一方で、正社員の稼働は月の半分程度です。大手との取引が実現するまで待つだけでは、空いている稼働は埋まりません。
ここで難しいのは、応援を増やせば当面の仕事は確保できても、請負を増やしたいという方向から離れかねないことです。反対に、請負への転換を急いでも、社長が管理できる量を超えれば受けきれません。
目先の仕事量と、将来の受注構造を一つの開拓先だけで解決しようとしないことが、判断を進める助けになります。
過去の未払い経験と、社長に集中する施工管理の制約
大手への希望の背景には、知名度への憧れではなく、過去の未払い経験がありました。 名前の知られた会社であれば、不誠実な対応を受ける可能性は低いのではないか。そう考え、誰もが知る会社との取引を望んでいました。
「名前が通っていない会社なら、自分でも開拓しようと思っていた。大きな会社は自分たちでは難しいから、外部に頼みたい」。その意向からも、外部に期待していた役割が見えます。
そのため、自社より規模の大きい施工会社であっても、全国的な知名度がなければ希望する相手には入りにくい状態でした。ただ、足元の稼働を確保するという目的で見れば、そうした施工会社の協力会社になることも検討に値します。
もう一つの背景が、社長だけで施工管理を担っていることです。工場・プラント系の仕事では、近くに拠点があり、必要なときにすぐ動けることが取引を支えている場合もあります。同規模の会社に取引実績があっても、自社が同じように対応できるとは限りません。
取引先の知名度だけでなく、自社の場所と管理体制で継続して対応できるかまで見る必要があります。 大手を目指す方針は残しながら、入口と順番を考え直す余地があるのです。
協力会社として稼働を確保し、社長が管理できる範囲で請負を増やす進め方
大手との直接取引は中長期の方針として持ち、足元では既存の施工会社の協力会社として案件を確保する道を並行して検討します。 大手を諦める話ではありません。目標に向かう間も、社員が動ける仕事を確保するための分け方です。
まず確認したいのは、稼働の空きと管理の空きです。月の半分が空いているという全体感を、受けられる案件の量に置き換えていきます。
- 社員は、いつ、どの程度の期間なら現場に入れるのか
- 社長は、現在の現場を見ながら、追加でどこまで施工管理を担えるのか
- 対応エリアを広げた場合も、必要なときに現場へ動けるのか
この確認は、稼働率を数字上で100%にするためではありません。社員の稼働余地と社長の管理余力が重なる範囲を、当面の受注可能量として捉えるためです。
次に、その範囲に合う案件を持つ施工会社を探します。自社より規模が大きく、複数の案件を持つ会社の協力会社として入る選択肢です。相手が全国的に有名かどうかより、継続して案件を相談できるか、自社が対応できる工事があるかを確認します。
その際は、協力会社になること自体をゴールにしないことも大切です。応援として稼働を埋める話なのか、工事を請け負える話なのかを分けて整理します。当面の稼働確保に役立つ案件と、請負への転換につながる案件では、受ける意味が異なるためです。
稼働を埋める案件と、請負を増やす案件を分けて見ると、当面の受注が将来の方針と矛盾しにくくなります。 応援をすべてやめてから請負を探すのではなく、管理可能な範囲で請負を積み上げる進め方が考えられます。
大手開拓では、希望する相手をもう一段具体化します。大手の工場と直接つながりたいのか。メーカー系の設備会社から工事を受けたいのか。それによって、探す相手も入口も変わります。
同規模の会社が取引している事実は、候補を探す手がかりになります。ただし、開拓できる保証ではありません。近隣に拠点があるのか、すぐに動ける体制があるのか。取引を支える条件まで見て、自社との違いを確かめます。
また、過去の未払いへの懸念は、開拓先選びの条件として残しておきます。知名度は一つの判断材料ですが、稼働確保や請負化とは別に、支払い面で何を確認したいかを整理することが必要です。
まとめ
応援中心の受注から抜け出すには、大手開拓だけでなく、足元の稼働と施工管理の余力をそろえて考えることが出発点です。
この会社では、応援が約9割を占める一方、社員の稼働は月の半分程度でした。そこに過去の未払い経験が重なり、大手との直接取引への希望が強くなっていました。
まずは、既存の施工会社の協力会社として稼働を確保できるかを検討する。そのうえで、社長が管理できる範囲の請負を増やす。大手との直接取引は、その動きと分けて進める方針です。
次の一手は、最も有名な会社を探すことより、「自社が今受けられる案件量」と「請負につながる開拓先」を明らかにすることです。 そこが見えると、目先の仕事を受ける判断にも、中長期の開拓にも筋道がつきます。
応援から請負へ移るための、稼働と開拓先の整理
「請負を増やしたいけれど、まず社員の空きを埋めたい」「大手を目指したいが、社長一人で管理できる範囲が気になる」。その段階から、受注の進め方を整理できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。応援と請負の比率、社員の稼働、施工管理の体制を踏まえ、案件獲得や取引先開拓の優先順位を一緒に考えます。
何から整理すべきかわからない段階でも、ご相談いただけます。 無理にサービスの利用をおすすめすることはありません。自社の場合の進め方を考える整理先として、お気軽にお声がけください。