前提

設備工事を一式で任せたいという声に、番頭の確保が追いつかない会社

仕事の引き合いはあるものの、現場を任せられる番頭が足りず、一括では受け切れない。 兵庫県のある設備工事会社から寄せられた相談です。

空調や配管など、複数の設備工事に対応できることが強みです。目指しているのは、設備関係をまとめて任せてもらえる「ミニサブコン」のような立ち位置でした。

改修工事の多い取引先からも、番頭を用意できれば、工事を丸ごと任せたいという声があります。ただ、施工できる職人を確保するだけでは、その期待に応えられません。設備会社の立場で現場を管理できる人も必要です。

現在は、個人事業主の番頭に協力してもらっています。ただし、自社専属ではありません。

「他の仕事もしているので、タイミングが合わなかったら、もういないという感じですね」

頼れる相手はいても、いつでも任せられるわけではない。そこが、受注を広げるうえでの制約になっていました。

課題

一括受注の機会はある一方、必要な人数を一度には増やせない状況

取り切れていない仕事量と、先に負担できる人件費の間に差があることが、増員を難しくしていました。

相談者は、受注を逃している状況について、まずこう補足しました。

「番頭がいないからといって、丸々断るということはないんですよね」

一括では受けられなくても、一部の施工だけを請けることはできています。仕事がすべてなくなっているわけではありません。それでも、その年に番頭を付けた一括受注を見送った案件は、約7件ありました。

番頭が一人増えれば、そのうちどの程度を受けられたか。相談者の見立ては「多分3件ぐらい」でした。

一方、仕事量だけを見れば、番頭を3人増やす余地はあるといいます。ただし、資金面では別の判断になります。

「コストは先にかかっちゃうものなので、3人分と考えると、財布の体力はないかなと」

仕事があるから必要な人数を一度に採る、とは決められません。 人が増えた時点から負担は始まります。その負担と、増えた体制で実際に受注できる仕事を、両方見ながら進める必要がありました。

背景

協力業者の空きに左右される受注体制と、数年先の仕事量への迷い

増員に慎重なのは、目先の資金だけでなく、増やした人員に継続して仕事を用意できるかという懸念もあるためです。

相談者は、数年先に関西の新築工事が減る可能性を見据えていました。これは将来の市場を断定した話ではなく、自社の増員を考える際に置いていた見通しです。改修工事を継続して出してくれる取引先も、現状では既存客に限られていました。

今は仕事がある。それでも、その状態が続くとは限らない。人を増やす判断には、この先の受け皿もセットで必要だったのです。

ただ、現状維持にも気になる点がありました。一括で任せられないと伝えれば、取引先は別の会社を探します。

「次の現場では、番頭を準備できた業者さんに先に話が行ってしまうと思うので」

気にしていたのは、目の前の一件だけではありません。次に声をかけてもらう順番が変わることでした。

人を増やさずに待つことにも、先に増やすことにも、それぞれ判断の難しさがあります。 だからこそ、採用か受注拡大かを二者択一にせず、両方を小さく進める道筋が合っていました。

解決

採用と見込み客づくりを並行し、受けられる現場が増えてから追加採用を考える進め方

同時に始めるのは、採用活動と見込み客との接点づくりです。大量採用と大量受注を同時に進めることではありません。

相談者自身も、進め方については「やっぱり同時でしょうね」と話していました。その「同時」を、資金と現場の対応力に合わせて段階に分けることがポイントです。

増員人数は、取り切れなかった案件・一人の対応力・資金余力で考える

最初に揃えたいのは、次の三つです。

  • 番頭不足で、一括では受けられなかった案件は何件あるか
  • 番頭が一人増えたら、そのうち何件を受けられる見込みか
  • 受注が増えるまで、何人分の先行負担に耐えられるか

この会社では、約7件の機会に対し、一人で約3件を拾えるという見立てがありました。ただし、これは相談者による対応可能数の目安です。一人採れば必ず3件増えるという意味ではありません。

また、一部施工は受注できていました。見送った案件を、丸ごと失った売上として扱うこともできません。

「仕事量から欲しい人数」と「資金面から先に迎えられる人数」を分けて考えると、最初の増員規模を決めやすくなります。 この会社では、まず1〜2人を確保し、受注を増やした後に追加の一人を検討する方向が示されました。

番頭に任せる役割を言葉にし、候補者への声かけを始める

採用側では、まず「どんな番頭に、何を任せるか」を整理します。この会社に必要なのは、単に職人として施工できる人ではありません。設備会社の立場で現場を管理できる人です。

候補として挙がったのは、サブコンで現場代理人を経験した人や、引き続き現場に関わりたいベテランでした。社長のつながりや協力業者からの紹介、経験者への直接の声かけを軸にします。

伝える役割も、「番頭募集」だけではなく、設備一式を受ける体制を一緒につくることまで言葉にします。

正社員として迎えるのか、一人親方や協力会社として関わってもらうのかも検討対象です。ただし、今の課題は、協力してくれる人がいても予定が合わなければ任せられないことでした。雇用形態だけでなく、必要な現場を実際に任せられる関わり方かどうかが判断軸になります。

人員確保前は接点づくりを進め、確保後に受注を広げる

仕事側では、番頭の確保を待たずに、見込み客との接点をつくります。この会社で候補になったのは、改修工事を扱う中堅サブコンでした。継続して仕事を用意するための受け皿を、先に探しておく考え方です。

ただし、接点をつくることと、一括受注を約束することは別です。まずは相手とのつながりを持つ。そのうえで番頭を確保できたら、増えた対応力の範囲で現場を受けていきます。

進め方は、次の順番です。

  1. 番頭候補への声かけと、見込み客との接点づくりを並行する
  2. まず1〜2人を確保し、その体制で受けられる現場を増やす
  3. 受注状況と資金余力を見ながら、追加採用を検討する

先に人を揃え切るのでも、先に仕事を抱え切るのでもなく、人と仕事を交互に増やしていく進め方です。

まとめ

採用と受注拡大は、並行して準備し、実際に増やす段階では歩幅を合わせることが大切です。

番頭不足で一括受注を逃していても、必要人数を一度に採れるとは限りません。将来の仕事量が気になるなら、なおさらです。

まずは、一括で受けられなかった案件数、一人増えた場合の対応現場数、先行負担に耐えられる資金余力を揃えます。そのうえで、採用活動と見込み客づくりを同時に始める。人員を確保できたら受注を広げ、次の採用を考える。この順番なら、今ある機会と自社の余力を結び付けて検討できます。

番頭の採用人数と、受注を広げる順番の整理

「うちなら最初に何人迎えられるか」「人を探しながら、どこまで仕事の話を進めてよいか」。そんな段階から、整理を始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。番頭に任せたい役割と、取り切れていない案件を照らし合わせ、採用と受注拡大をどの順番で進めるか、一緒に考えます。

まだ採用人数や進め方が決まっていなくても大丈夫です。 無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、自社の場合の整理先としてご相談ください。

お問い合わせはこちら