前提

4名規模の専門工事会社が考える、まず1名を迎えるための準備

少人数の会社で採用を考えるときは、何人採れるかと同時に、入った人が育ち、働き続けられる条件を整理しておきたいところです。

ある専門工事会社は、4名ほどの体制で、事務所ビルなどの工事を手がけています。住宅の工事は少なく、対応する物件の規模はさまざまです。工事量が増えるなかで、まずは経験者を1名迎えたいと考えていました。

「採用は1人くらいしか欲しくない。それでも合うのでしょうか」

大人数を採用して会社を急拡大したいわけではありません。今の体制に1人加わり、仕事を任せられるようになることが目標です。それだけに、採用後にどう受け入れるかも大切になります。

この会社で若手の退職が起きていたと確認できたわけではありません。ただ、採用後の定着を考えるうえで、数年で辞めてしまう、兆候をつかめないまま退職を告げられるという悩みは、あらかじめ点検しておきたい論点です。

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課題

突然の退職だけでは見えない、育成と評価の伝わり方

若手が辞めた理由をつかめないときは、本人の事情と、会社側が伝えきれていなかったことを分けて考える必要があります。

数年働いた若手が辞める。辞めそうな様子がなかったのに、突然退職の話になる。理由を十分に聞けないまま、本人が去ってしまうこともあります。

ただし、「突然辞めた」という経営側の受け止めだけでは、何を変えればよいかは決まりません。受け入れや育成の問題だったのか、頑張りが評価につながる実感を持てなかったのか。その先の役割が見えなかったのか。理由を確かめずに、一つの原因へ結びつけることは避けたいところです。

点検したいのは、次の三つです。

  • 入社後に何を身につけるのかが、本人に伝わっているか
  • どのような頑張りを、どう評価するのかが明確か
  • 主任や職長など、次に目指せる役割が見えているか

採用できたことと、入社後の見通しを共有できていることは別です。 人数を増やす前に、この三つを説明できる状態にしておくことが、定着に向けた土台になります。

背景

「背中を見て覚える」だけでは共有しきれない、仕事の覚え方と将来像

仕事の教え方、評価、将来の役割が言葉になっていないと、会社が期待していることと、本人が目指していることをすり合わせにくくなります。

育成を「背中を見て覚える」ことに委ねていると、教える側が当然だと思う内容まで、本人が理解できているとは限りません。教えたつもりでも、何を覚えれば次へ進めるのかまでは伝わっていない可能性があります。

評価も同じです。会社としては頑張りを見ていても、本人が「どういう頑張りをすれば、どう評価されるのか」を説明できなければ、基準は共有されていません。

さらに、新人から主任や職長へ進む道筋が見えなければ、今の仕事と将来の役割がつながりにくくなります。何件の物件に対応できたら次の役割を検討するのか。その段階で何を任せるのか。こうした説明が、成長の見通しになります。

少人数の会社では、制度と聞くと「ある程度大きい会社の話では」と感じることもあるでしょう。実際に、支援事例の説明に対しても、会社の規模を気にする声がありました。

必要なのは、大きな会社の制度をそのまま持ち込むことではなく、今の会社で教えられること、評価できること、任せられる役割を言葉にすることです。

解決

受け入れ・評価・職長への道筋を、本人と共有できる形にする準備

まずは、入社後に覚える内容から次の役割までを、一続きで説明できるように整理します。 受け入れ手順だけ、評価制度だけを別々に作るよりも、本人の成長に沿ってつなげることが大切です。

受け入れは、実際に教える内容の言語化から

最初に整理するのは、入社後に何を教え、どこまで身につけてもらうかです。社長と教える側が、現在の教え方を言葉にしていきます。

確認する軸は、「何を教えるか」「誰が伝えるか」「何ができれば次へ進めるか」です。経験者を迎える場合も、これまでの経験を踏まえて、何を任せ、何を改めて伝える必要があるかを整理します。

ここで大切なのは、細かな文書を大量に作ることではありません。教える側の説明と、本人が理解している内容を合わせられることが、受け入れ手順を整える基準です。

評価は、会社が求める頑張りを具体的な言葉に

次に、どのような頑張りを評価するのかを明確にします。「頑張っていれば見ている」という説明から、本人が目指す状態を理解できる説明へ変えていきます。

育成内容と並べて、「これができるようになったら、どう評価するのか」を確認すると、教えることと評価することのつながりを整理できます。

基準を決める際は、今の会社で実際に確かめられるか、本人にも説明できるかを判断軸にします。運用できない基準を増やすより、日々の仕事と結びつく基準を共有するほうが進めやすくなります。

成長段階は、物件への対応経験と次の役割をつなぐ形に

将来の役割は、「いずれ職長になってほしい」だけで終わらせず、そこへ進む段階を示します。

たとえば、物件への対応経験を、主任や職長へ進む目安として整理する考え方があります。ただ、相談企業のように物件規模がばらばらなら、件数だけで一律に判断するのは難しいでしょう。件数を目安にする場合も、どのような物件で、どこまで対応できる状態を目指すのかまで共有することが重要です。

全員に同じ役割を目指してもらうと決めつけず、本人の希望も確かめます。別の工事会社では、年1回の面談を通じて、働き方や稼ぎ方についての希望の変化を確認していました。成長の道筋も、会社が一方的に示すだけでなく、本人がどう進みたいかを聞きながら共有したいところです。

また、退職理由を聞けない状態が続いているなら、在籍している社員の声を聞くことも整理の入口になります。長く働いている理由や、社長には直接言いづらい意見が、第三者への聞き取りで見えてくる場合もあります。そこで得た意見を、受け入れや評価の見直しにつなげていきます。

まとめ

若手の定着に向けて整えたいのは、「何を覚えるか」「どう評価されるか」「次にどの役割を目指せるか」を本人と共有できる仕組みです。

突然の退職があっても、その理由を受け入れや育成だけに決めつけることはできません。一方で、教え方や評価が言葉になっているかは、会社側で確かめられます。

まず1名を迎えたい少人数の会社でも、取り組みの入口は同じです。今の教え方を書き出す。評価する頑張りを明確にする。物件への対応経験と、主任・職長などへの成長段階をつなぐ。その内容を本人と共有するところから始められます。

若手が育つ道筋を、自社の人数と現場に合わせて整理するために

「うちの場合、入社後に何を教え、どこまで任せるか」から整理する段階でも、ご相談いただけます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。若手の定着についても、会社の人数や仕事の内容を踏まえ、受け入れ手順、育成内容、評価基準、将来の役割をつなげて考えます。

制度を作ることありきではなく、今の教え方のどこを言葉にするとよいか、という相談からで構いません。無理な営業は行いませんので、次の一手を整理する場としてご活用ください。

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