工場の電気工事の経験を生かし、大手との取引拡大を目指す15名規模の会社
大手との接点を求める理由は、名前のある会社と会うことではなく、安心して仕事を続けられる取引先を増やすことでした。
ある15名規模の電気工事会社では、工場での施工経験を生かし、大手メーカー系の設備会社との取引を広げたいと考えていました。支払いへの安心感に加え、従業員が一生懸命に取り組む価値を感じられる環境も大切にしていました。
すでに大手グループとの接点はありました。知人の協力と、社長自身の前職での経験が入口になった取引です。ただ、契約から実際の工事開始までは時間がかかり、施工が動き始めてからは、まだ1年に満たない段階でした。
「このまま継続できればいいですけど、まだ評価する段階ではないですね」
大手との取引経験がないわけではありません。それでも、接点ができたことと、安定して仕事が来ることの間には距離がありました。次の取引先を開拓するにあたり、確かめたかったのは、その距離をどう縮めるかでした。
見積もりに参加できることと、工事を受注し続けることの違い
面談の実施、見積もり相談、初回受注、継続受注は、それぞれ別の成果です。
相談の中で、社長が繰り返し確認していたのは「何をもって結果が出たとするのか」でした。取引先登録ができた状態なのか。実際に見積もりを提出し、工事を受注した状態なのか。さらに、その後も相談が続いているのか。
「継続して、見積もりには参加できているんですか?」
この問いには、初回の工事だけで終わらせたくないという関心が表れています。営業の進み具合は、次のように分けると捉えやすくなります。
- 接点づくり: 工事に関わる担当者と、自社の経験や対応範囲について話せる
- 見積もり相談: 具体的な案件の条件を受け取り、見積もりを提出できる
- 初回受注: 価格や施工条件の折り合いがつき、実際の現場に入る
- 継続的な相談・受注: 初回工事の後も見積もり相談があり、次の受注につながる
取引先登録は、見積もりに参加するための前提になる場合があります。ただし、登録できたこと自体が発注の約束ではありません。見積もり相談が来ても、単価が合わなければ受注には至りません。
また、相談が続くことと、その都度受注できることも別です。接点の数だけではなく、どの段階まで進んだかを見ることが、営業成果を判断する出発点になります。
紹介で開いた入口の先には、価格と施工実績による評価
紹介は話を聞いてもらうきっかけになりますが、発注先として選ばれ続ける理由は、その後の提案と施工でつくる必要があります。
この会社が既存の大手取引先に入れた背景には、社長の「仕事をやりたい」という意思を受け止めてくれる相手と、橋渡しをしてくれる知人の存在がありました。前職で同様の仕事を経験し、責任を果たせるという土台もありました。
一方で、社長自身は、継続して選ばれている理由をまだ言い切っていませんでした。品質なのか、価格なのか、対応力なのか。取引が始まって間もないため、強みとして評価するには早いという認識でした。
ここで、紹介によって会えることを、そのまま受注の確かさに置き換えないことが大切です。外部の人脈で接点を持てても、見積もりでは価格や条件の比較があり、施工では品質・コスト・納期への対応が見られます。
社長は、新たに狙う先についても、会社の知名度だけでは判断していませんでした。経験のある工場の仕事に近いか。今の自社で対応できる工事規模か。工事の購買機能は本社にあるのか、工場ごとに分かれているのか。こうした点まで確認していました。
重要なのは「どの大手とつながるか」だけでなく、「どの部署の、どの規模の工事なら任せてもらえるか」です。
対応できる小口工事を起点に、施工評価を次の案件へつなぐ進め方
最初から大きな発注を期待するより、経験を生かせる小口工事で実績をつくり、その評価をもとに相談先を広げる進め方が現実的です。
入口を増やすことと、入った現場で信頼を得ることを、一続きで考えます。ただし、それぞれを担う役割は分けておきます。
最初の対象は、知名度より経験と工事規模で絞る
この会社にとっての判断軸は、工場の電気工事という経験と、今すぐ対応できる規模でした。将来は大きな仕事をしたくても、初回から背伸びをする必要はありません。
まずは対象企業の中でも、経験を説明しやすい工場や設備部門を確かめます。そのうえで、発注や見積もり相談の窓口がどこにあるかを確認します。会社名が一致していても、販売部門とのつながりが、工場の工事発注につながるとは限らないためです。
最初に狙うのは、有名な会社との面談そのものではなく、自社が責任を持って施工できる案件への入口です。
外部には接点づくり、自社には提案と施工の役割を置く
顧問などの外部支援を使う場合は、担当者との接点づくりや、対象部署・拠点の検討をどこまで担うのかを確認します。一方、見積もりの単価設定や条件交渉、実際の施工対応は、自社が向き合う部分です。
外部支援を評価するときも、「会えたから成功」「まだ受注していないからすべて失敗」と一括りにせず、どこまで進み、どこで止まっているかを分けて捉えます。
見積もり相談が来ないなら、接点や工事需要の確認が必要です。相談はあるものの受注できないなら、価格や施工条件の折り合いを確認します。初回工事の後に相談が続かないなら、施工への評価と、その後の工事需要を確かめることが次の整理になります。
初回工事では、品質・コスト・納期への対応を実績にする
初回の小口工事は、発注側が実際の対応を確かめる機会になります。品質、コスト、納期という条件に応え、次も相談できる相手だと評価してもらうことが、その後につながります。
ただし、初回受注は継続発注の保証ではなく、次の相談につなげるための実績づくりです。 相見積もりであれば、その後も価格や条件を含めて選ばれる必要があります。
まず一つの対象先で関係を深め、実績が積み上がったところで、同じ会社の別拠点や隣接するエリアへ広げる。入口を一度に増やすより、こうした順番が合う場合もあります。広げ方は、対象企業の拠点数と、自社が対応できる範囲を照らして決めます。
期間の目安と、受注の約束を分ける
成果までの期間は、エリアや工事需要によって変わります。同じ企業でも、地域や拠点が違えば案件の状況は異なります。
他社で短期間に初回工事へ進んだ経験があっても、それを自社の受注予定として扱うことはできません。「半年で受注できる」「1年続ければ安定する」と一律には約束できない部分です。
期間だけで判断せず、接点、見積もり相談、初回工事、次の相談という進み具合と、対象エリアの需要を合わせて確認することが大切です。
まとめ
大手開拓の成果は、会えた会社の数ではなく、初回工事を経て、次の相談や受注につながっているかで捉えます。
そのためには、面談、見積もり相談、初回受注、継続受注を分けて見ることが欠かせません。取引先登録や紹介は入口です。その先では、価格や施工条件の折り合いと、品質・コスト・納期への対応が問われます。
最初は、経験のある施工領域と、責任を持って対応できる工事規模を重ねるところからです。一つの現場で実績をつくり、その評価をもとに案件や拠点を広げていきます。外部支援の接点づくりと、自社の提案・施工を分けて考えることで、次に何を確認するかも明確になります。
大手との接点を、次の工事につなげるための整理
「どこと会うか」だけでなく、「会った後に何を提案し、どの工事から始めるか」まで整理したい段階でも、ご相談いただけます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。大手との販路開拓では、自社の施工経験や対応できる規模を踏まえ、狙う部署・拠点、外部支援が担う範囲、初回受注までに確認したいことを一緒に整理します。
「うちの場合は何から考えるべきか、まだまとまっていない」という段階でも大丈夫です。無理にサービスの利用を勧めることはありません。自社で進める部分と、外部の力を借りる部分を考える整理先としてご活用ください。